テクニカル サポートにて提供を依頼する「再現手順」について

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こんにちは、日本マイクロソフト Dynamics ERP サポート チームの永吉です。
この記事では、テクニカル サポート チームがサポート リクエストの中で依頼する「再現手順」について紹介します。

  1. はじめに
  2. 「再現手順」について
    1. なぜ必要なのか
    2. いつ必要なのか
    3. 何が必要なのか
    4. どう提供するのか
    5. どれぐらい必要なのか
  3. おわりに

はじめに

本記事は Dynamics 365 Finance and Operations および Business Central のテクニカル サポートをご利用いただく際に留意いただきたいことを記載しています。
全てのサポート リクエストにおいて、本記事の内容が必ず適用されるものではないことをあらかじめご了承ください。
また、各サポート リクエストにおけるゴールや対応方針は担当のサポート エンジニアとご相談ください。

「再現手順」について

なぜ必要なのか

テクニカル サポートでは Microsoft が提供したソースコード (= 標準機能) にて発生した事象を調査対象としています。
事象が標準機能で発生している場合、その原因のソースコードやテスト シナリオを見直す必要があるため、「なぜこの事象が発生するに至ったのか」を明確にする必要があり、そのための「再現手順」が重要となっています。
※ 状況に応じて、データの修正などの別の手段をご案内できる場合もあります。適宜担当のサポート エンジニアにご相談ください。

いつ必要なのか

調査を開始するにあたり、一番最初にご提供いただきたい情報が再現手順となります。
よって、可能であればサポート リクエストを起票する際に、ご確認ください。

何が必要なのか

テクニカル サポートでは、アプリケーション上の挙動に関してお客様からサポート リクエストで調査を依頼いただいたものに対して、以下の 2 つの観点より再現性を調査します。

  1. 標準環境での再現確認
  2. お客様環境での再現確認

標準環境での再現確認

概要

お客様環境で発生した事象を、Microsoft の標準環境及びデモデータのみを用いて再現することを確認します。

具体的な内容

USMF や JPMF などのデモデータの法人にて、何度実行しても事象が発生する手順を step-by-steps で確立します。
テクニカル サポートで使用している法人や各法人の特徴については以下のサポート チームのブログを参照ください。
D365FO でデモデータを含んだ環境の構築方法と検証シナリオ毎のおすすめ法人
また、提供する情報には「期待する挙動」と「実際の挙動」をそれぞれ明記ください。

本情報によって分かること

お客様環境にて発生した事象がお客様環境の環境設定やエクステンションに起因しているかどうかを切り分けることができます。
また、標準環境で再現した場合、Microsoft が提供する標準機能における事象であるため、その事象が想定している挙動かどうかを調査します。

注意点

  1. デモデータの法人内に事象が発生するデータが無い場合、データを作成する手順も併せて記載ください。
  2. デモデータの法人では事象が発生しない場合、法人を作成する手順も併せて記載ください。
  3. “標準環境での再現確認” が完了した場合、以下の “お客様環境での再現確認” は不要となる場合があります。

お客様環境での再現確認

概要

お客様環境で発生した事象を、お客様のデータやエクステンションの含まれた環境で再現することを確認します。

具体的な内容

お客様の Sandbox 環境やクラウド ホスト環境にて何度実行しても事象が発生する手順を step-by-steps で確立します。

本情報によって分かること

お客様環境で発生した事象がお客様環境のデータに起因しているかどうかを切り分けることができます。

テクニカル サポートから依頼する事項

この調査において、テクニカル サポートからはシャドウ コピー環境を提供を依頼する場合があります。
シャドウ コピー環境については以下のサポート チームのブログを参照ください。
Dynamics 365 Finance and Operations の調査に用いるシャドウ コピー環境について
また、提供する情報には「期待する挙動」と「実際の挙動」をそれぞれ明記ください。

注意点

  1. お客様環境での再現が確認できた場合においても、標準環境での再現を確認する場合があります。
  2. 既存のデータにて再現が確認できた場合には、事象が再現するデータを作成する過程も併せて記載ください。
  3. 手順が明確でない場合、および手順を実施中に別のエラーなどが発生した場合には、お客様に再度情報提供を依頼する場合があります。

どう提供するのか

以下のいずれかの方法でご提供ください。

  1. Excel ファイルなどで画面ショット付きの手順書
  2. タスク レコーダーのレコーディングデータと、レコーディングで使用したデータセット
  3. Teams 会議の画面共有 (お客様環境またはテクニカル サポート チームの標準環境)

再現手順のデータが用意出来たら、テクニカル サポートにその旨をご連絡ください。
サポート エンジニアがデータを共有するための URL を送ります。

どれぐらい必要なのか

再現手順においては、値を入力またはクリックすることを 1 ステップとして、環境にアクセスしてから事象が発生するところまでのステップを全て記載ください。
例えば「販売注文の明細行に製品を追加する」と記載した場合、それが画面上から追加しているのか、Excel Add-in で追加しているのか、カスタマイズ処理によって追加しているのかを判断することができません。
よって、「販売注文を選択し、[明細行の追加] をクリックして製品を追加する」などと明記ください。

おわりに

以上、テクニカル サポート チームがサポート リクエストの中で依頼する「再現手順」について紹介しました。
再現手順が明確になっていることで、迅速な調査が可能になりますので、ご協力いただけますと幸いです。

※本情報の内容(添付文書、リンク先などを含む)は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。より詳細な情報が必要な場合は、弊社テクニカル サポート, アカウント マネージャー, ソリューション アーキテクト, FastTrack までお問い合わせください。